新型コロナウイルスは、変異を続けながら世界中で猛威をふるいました。新型コロナウイルスによるパンデミックが引き起こした不安定な社会情勢は、我々大人も初めての体験でした。今の園児たちはこのタイミングで育ってきました。
このような社会情勢が、子供の発達に悪影響をもたらすのではないかとも懸念されています。とくに子供の「社会情緒的行動」や、子供と他者(親、友達など)との「心理的距離」などの社会性の発達に、どのような変化が生じているかが気がかりとされています。現時点では落ち着いてきた感のあるコロナですが、この先またもや変異する可能性は残っています。
前回マスクの話を書きましたが、コロナは大人の口元の動きと表情を学ぶ機会を奪っただけではなく、子供たちの行動範囲も狭めています。
この時期に経験してほしい社会経験自体が減少していることはやむを得ないでしょう。
社会性の発達というものが目に見えるものではないので、どの経験が基礎になるのかはわかりません。
幼稚園で何がどこまでできるものなのか自体も手探りですが、それでも出来る限りいろいろな経験をさせてあげたいと考えています。
〇卒園遠足について
昨年の菊組の卒園遠足にて八千代幼稚園としては初めてキッザニア東京を選択致しました。
例年は上野動物園だったのですが、コロナ禍のため上野動物園は閉鎖しており、再開時は厳しい人数制限と予約制が決定していました。案の定予約は延期となり動物園は再開しませんでした。
この時、あくまで動物園の予約待ちとするか、ディズニーランドかキッザニア東京などに行くかで検討していました。上野動物園は開園しても予約競争になるのでまず無理だろうと思っておりました。
ディズニーランドは区内のほかの幼稚園が行っているとのことでした。私としてはそこに「教育的価値が見いだせるのか?」を最優先で考えていました。ディズニーランドは楽しいし親としては安心感がある。卒園記念として行くことには意義があるとの意見が出ました。
キッザニアは働くことの意味や社会の仕組みを理解するための場がコンセプトであり、まず間違いなく教育効果はあるだろう。しかし遠足代はディズニーランドと変わらない額になる。また室内というのは雨天でも行ける利便性はあるものの、コロナの感染予防が大変気になる。調べると感染防止の取り組みを大きくうたっており、コロナで社会経験の少ない園児達には有効な遠足先になるだろうと判断した。
最初に子供達だけで銀行の通帳とカードを作らせるのですが、この経験だけでも十分来た価値があると思いつつ子供たちの様子を見ていました。他の職業体験でも緊張感あふれる子供たちの顔をみて、ここを選んでよかったと安堵したのです。
〇春の遠足について
本年度は春の遠足もいくつか視察検討して、初めての場所の船橋アンデルセン公園にしました。
ここは豊かな自然だけではなく、子供向けのワークショップがあったのです。
全園児のワークショップの予約が取れたので、まずは物作りと制作の体験をしたのち、公園の自然と動物とのふれあい、広い芝生での遊びをすべて体験していただきたいと欲張りました。
風車のメルヘンの丘から入り、森林が多いアトリエのエリアでワークショップ。
中央付近に色々な動物がおり、そこを超えた北ゲートまではなだらかで、色々な楽しいワンパク王国ゾーンが広がる。
子供達に楽しく、かつ多くの体験をしてもらいたいというこの遠足は、好天気にも恵まれうまくいったと考えています。
〇秋の芋ほり遠足について
次は秋の芋ほり遠足です。こちらも大きく変更することにしました。
これまでは葛飾区の住宅街にある農地の一角にてさつまいも掘りをしていました。
私が幼稚園にかかわり始めた時から、この農地には不満があり他を探しておりました。
もっと広々とした大きな畑を見せてあげたい。さらに他にも何か自然と触れ合う環境が欲しい。
利便性の良い都内でこのような望みが叶うこともなく、昨年は同じ場所での芋ほり遠足となりました。
芋ほりに関してはかなり探したのですが、コロナ禍で観光芋ほりから撤退した農家が多く、関東でもっとも有名な川越の芋ほりでも4軒くらいしか残っていないようなのです。
実は川越には夏に2回視察に行っています。
今回芋ほり遠足でお世話になる農家は、広大な芋畑(種類も数種類あり)とともに、風よけのため畑と畑の間にはお茶の木が整然と植えられていました。畑とは別の敷地内に子供用のトイレと水道、お弁当を広げるスペースが用意されていました。さらに栗の木やコナラの雑木林もあります。栗は9月中に落ちるので10月の遠足の時にはないことを確認しました。コナラ、クヌギ、シイなどがどんぐりを落とすことから、子供たちがどんぐり拾いもできる環境でした。
農家の方に直接聞いたのですが、川越では芋畑は水はけが良いのでぬかるむ事はあまりないとのこと。
水はけをよくするため、3メートル以上掘って土を改良してきたとのこと。横に植えれば「芋づる式」の名称通り一杯取れるが、それは戦後の食糧難の時だけで川越では1株の個数を減らして、その分甘い芋を作っているとのこと。また一番の害虫はコガネムシ、カナブンの幼虫だそうで、成虫を匂いでおびき寄せるトラップがそこら中にあり、中にはたくさんのコガネムシが入っていました。このトラップで農薬の使用も大きく減ったそうです。
この風景と環境をみて、実際に農家の方から芋つくりの説明を聞き、芋ほり遠足を川越に変更した次第です。場所は遠くなるけど、それ以上に子供達には色々な体験と収穫があるだろうと今から楽しみです。
〇スイミングについて
さらに来年度ですが、スイミング場を変更する予定でおります。
ご承知のように八千代幼稚園では昨年組み立て式の子供用プールを導入しました。
これにより単なる水遊びから、小学校で教わるはずの水に顔をつける、バタ足まで全員が出来るようになりました。幼稚園でこれ以上必要なのだろうかと話し合いました。せっかくそこまで出来るようになったので、もう少し本格的に水泳を教わることも子供たちの成長に有意義だという結論に至ったのです。
現在お願いしているスイミング場は川口にあり、蔓延防止などで県をまたいでの移動禁止が出ると行かれなくなります。足立区内で本格的に子供たちの水泳の指導をしていただけるところとして、西新井の東京マリンの名が挙がり視察に行ってきました。
東京マリンでは、水曜日の10時30から11時10分までの時間なら、一般客なしで八千代幼稚園の園児達だけのレッスンを受ける事が出来るとのことでした。非常に良い条件なので園バスの運用会社と折衝してつい最近ようやく合意を得たところです。
西新井の東京マリンまでは15分も見れば十分行けますし、何よりその時間は専任で指導してくれるのが安心です。
〇学芸会について
八千代幼稚園では体育館を有するので、これまで学芸会は体育館で行っておりました。
今年は梅田地域学習センター(エルソフィア)のホールでの開催を考えて、すでに2月2日(木)に予約しています。
本格的な舞台での子供たちの演技や歌や踊りも、大きな経験になるものと考えています。
ただし区の施設のため健康チェックシートの提出と、コロナの状況次第で貸し出しに制限がかかるかもしれません。
保護者の皆様も同じ思いでしょうが、子供達には出来る限りいろいろな経験・体験をさせてあげたい。そのための見直しを幼稚園として検討しています。
子供たちが楽しく・有意義に幼稚園を過ごせるように、保護者の皆様と共に今後とも取り組んでいきたいと考えています。
八千代幼稚園 事務長 千葉栄一
posted by 八千代幼稚園 at 10:09|
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