昨年末に記載した出生率問題に続いて、自民党総裁選の時期だからこその硬い内容を記載します。
はじめに岡山県奈義町の少子化対策成功例から報告します。
地域性その他が全く異なるので、ただちに東京都足立区と比較できる内容ではありません。
その点をご留意してお読みください。
奈義町は、岡山県の北東部に位置する町で、子育て支援に力を入れ2019年には合計出生率が2.95人という高い出生率を記録しています。
奈義町の高い出生率を支えているのは、全国屈指の充実度を誇る財政支援です。
出産したら町から一律10万円の祝い金が支給される。
幼稚園入園前の子供を在宅で育児をする保護者に1人当たり月1.5万円交付する在宅育児支援手当。
小学校3年生までの子供を預かるチャイルドホームなどでは、1時間300円の自己負担にて子育てをサポート。
子供の遊び場兼無料で子育てアドバイザーが相談を受ける集いの広場の実装。
高校生がいる家庭には生徒ひとりに年13万5000円の就学支援金が支給され、高校生以下の子供の医療費は自己負担ゼロ。
小中学校の補助教材費は無料、毎月の給食費の半額を町が助成する。
大学進学のために町が低所得世帯に用意する奨学金は無利子で、大卒後にUターンすれば貸付額の半額が返済免除になる。
その他20項目以上の支援策が実施されています。
町営住宅は駐車場付き・3LDKの新築のオール電化住宅に、家賃5万円で入居できる。
このように、乳児期から成人までの金銭サポートが驚くほど手厚い。
奈義町が少子化対策に大きくかじを切ったのは約20年前。
近隣1市3町で合併する話が持ち上がり、その賛否を問う住民投票を実施した結果、
7割超の町民が「合併はしない」と選択した。
だが、合併を促すために国が特別に用意していた財源(合併特例債)を当てにできなくなり、
財政シミュレーションをすると、単独町政では財政危機に陥ることがわかった。
当時の出生率は「1.41」。それでも調査開始以来、最低の水準だった。
人口減の危機感が強まり、奈義町は徹底した歳出削減に踏み切る。
議員定数と役場の職員数を削減し、民生委員会など各種委員会の報酬や公共事業費削減を断行して1億6000万円を捻出。
高齢者向け中心から若者・子育て世代向け施策を拡充し、全施策を子育てと教育・人口維持に振り向ける姿勢を明確にした。
「異次元の少子化対策」を謳った現総理の岸田さんも奈義町を視察している。
仮に私が子育て支援策を考える立場であっても、就学前の子育てに関わる事柄の全無償化を真っ先に考える。
元厚生労働省官僚の大泉博子氏によれば、1989年の出生率過去最低となった「1.57ショック」を受け、政府が1994年に初の少子化対策としてまとめたのが「エンゼルプラン」だったとのこと。
大泉氏は課長として作成に携わり「ほとんどが保育について書かれていて、人口政策ではなく児童政策に矮小化された」と振り返っている。さらに岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」で掲げた保育サービス拡充などの3本柱は、30年前のプランと同じ発想だと批判。
昨年末に書いたように日本の人口半減のタイムリミットは2025年頃までと言われて久しい。
派閥と裏金問題で支持率が大きく下がったタイミングであるからこそ、岸田総理大臣には一地方都市が成しえた改革をさらに超える、本気の「異次元の少子化対策」を実現してもらいたいと思っていた。
しかし、「異次元の」「少子化問題」は謳い文句のままで終わることになりました。
タイムリミットから逆算すると、恐らく次の総理大臣が奈義町レベルの対策を打ち出せないと、日本の人口減の歯止めが利かなくなる可能性が大です。
posted by 八千代幼稚園 at 16:56|
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